JSDF Helicoptor Accident 20230418 001

Japan Self-Defense Force personnel transport the bodies retrieved by the submarine rescue ship Chihaya on April 18 at the Miyakojima Sub Base in Miyakojima City, Okinawa Prefecture. (© Kyodo)

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沖縄県・宮古島周辺の洋上で陸上自衛隊第8師団所属のヘリコプターが消息を絶った事故で、深さ約100メートルの海底に沈んでいる機体胴体部が見つかり、複数の隊員が引きあげられて死亡が確認された。

 

ヘリには第8師団長の坂本雄一陸将ら隊員10人が搭乗していた。

 

複雑な海底地形などに悩まされながら、懸命の捜索が続けられてきた。全員を家族のもとに帰すため、残る隊員の捜索と収容に努めてほしい。

 

国を守る任務の最中に殉職した隊員に哀悼の誠を捧(ささ)げたい。

 

熊本市に司令部を置く第8師団は熊本、宮崎、鹿児島3県の防衛に加え、有事には南西諸島に緊急展開する「機動師団」だ。坂本師団長は3月30日に着任し、防衛対象の島を知るために部下らとヘリで上空から視察していた。

 

有事に備える自衛隊のこのような日々の努力は日本の安全につながっている。警察予備隊発足以降、殉職隊員は2千柱を超える。尊い命を犠牲にした平和の守り手に改めて感謝したい。

 

SDF peacekeepers
事故現場の海域で捜索する海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」=4月17日午前、沖縄県・池間島から撮影(共同)

 

防衛省自衛隊には悲劇を繰り返さない努力が求められる。

 

陸上幕僚監部は事故調査委員会を設置した。災害派遣や緊急患者輸送などの任務を除き、安全性を確認するための点検・教育を終えるまで、事故機と同型機の訓練飛行を見合わせる措置をとった。

 

機体胴体部の回収などで事故原因を究明し、再発防止策を講じなければならない。

 

根拠もないのに中国軍による撃墜説がSNSで出回るなど臆測が飛び交ったのは残念だった。原因究明は事実と異なる見方を打ち消すことにもなる。

 

抑止力低下を避ける必要もある。事故機の同型機はさまざまな任務に使われている。飛行制限が長引けば国防に支障が生じかねない。トップ不在の第8師団の態勢立て直しも重要だ。

 

尖閣諸島有事や台湾有事が懸念されている。宮古島を含む南西諸島は国防の最前線だ。中国軍の艦船や軍用機が、沖縄本島・宮古島間などの海峡やその上空を頻繁に通過している。

 

南西諸島への侵略を抑止し、万一有事になれば防衛を完遂するため、迅速、確実に行動できる自衛隊の存在が欠かせない。今回の悲劇を乗り越え、国民を守り抜いてもらいたい。

 

 

2023年4月18日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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